悪の対話術 (講談社現代新書)



悪の対話術 (講談社現代新書)
悪の対話術 (講談社現代新書)

商品カテゴリ:一般教養,雑学,実用知識,学習
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他者としっかり向き合うことから逃避する人が増えているという。パソコンのチャットに精を出し、ケータイを手放せない若者たち。しかし本書は彼らを分析し、説教し、社会の矛盾を追求する、日曜朝の討論番組系退屈本では決してない。対話の難しさを知り尽くしたうえで、あえてすすめる著者の論はとても刺激的だ。善意さえあれば理解し合えるという欺瞞はこっぱみじんに。阪神大震災の時、いかに見当違いな救援物資が送られたかなどの例を挙げ、よい人の無神経さ、独善性を斬る。そして、「悪の対話」へといざなう。
著者は今までネガティブなものとされてきた言辞の数々の効用を説く。ののしることができない人へ、洗練された軽蔑の念をあらわすための「お世辞」。「悪口」は共有する相手との間に心を許しあったかのような感覚をもつことができる…。 しかし。魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)するこの世で生き抜く知恵を伝授するハウツー本、というだけでもない。
本書を貫く主張は「決して刹那的に、弛緩した自己を生きないでほしい」「真実を愛するなら虚偽をも知らなくてはいけない」といった、ちょっとしんどいが極めてまっとうなもの。帯のコピー「これが大人のレトリック 言って勝つ生き方」に惹かれて購入した向きも、それ以上の果実を手に入れることだろう。(高橋伴子)



章ごとに読者を試すような筆者の押し引きがたまらない

他のレビュアーの方々のご指摘通り、対話(人間関係)において、
単に幼いこと、素直なこと、無意識に純粋であることは
決して「善ではない」ことを通底奏音としている。
あえて短く言うなら「常に意識的たれ」「過程を楽しめ」という点が要諦と受け取れました。
氏の著作の中では、ややエッセンス的な表記によりまとめられた印象と思います。
ただ、わかりやすい比喩などを用いて、読者に向かってぐぐっと熱く押してくる章
(例えば4章「虚偽と韜晦」)と、
ポイとこちらへ投げ出しやや困惑させるような章(例えば8章「紹介と自己」)との
配置とバランスが、読み進めるうちに波のように心地よくなるから不思議です。
10章「観察と刺激」?11章「焦りと緊張」のあたりの流れは、
現代および現代の若者への氏の熱い思いがふつふつと文章の行間に感じられ、
内容もその熱さも、個人的にはツボでした。
小僧弱者から大人強者に変身し『たい』人の本

これは私どものような小僧、つまり対話未熟者向けの著書ですが指南本ではないと感じました。すこしライト(右より)な著者のお説教に耳を傾けるという本です。そのお説教に注文させていただきますと、悪の(=大人の)対話術のもっとわかりやすい例をあげていただければそんな小僧もさらに理解できたと思います。近頃注目される白州次郎なんかは悪の対話術で偉業を残した好例ですね。
最後の3ページは著者のパラドクスに酔いました。
氏の本の中では星五つに入ります。(ん?そんな基準でいいのかな?)
さらなる良書を期待しております。
悪とは?

「悪」になるすすめの本。悪になるとはすなわち,意識的になるという事です。「素朴さが,何らかの意味を持つと考えるのは,とても幼いことです」(pp.67)
素敵な悪の世界への誘い

根底にあるのは「全ての対話に対して意識的であれ」ということ。
イノセントで無垢であること(=みかけの善)を良しとする子供じみた価値観を卒業し、常に自分の言動に対して意識的になること(=みかけの悪)によって、人間的な成熟を図りよりよい対話術を身につけよう、というのが主題です。

そして結局、対話に対して意識的になるということは、とりもなおさず他人に対して好奇心を持つということであり、それは人間社会で他人と関わりながら生きていく中で最も重要なことの一つである、と論じています。

最近この本の影響で普段の言動に対して徹底して意識的になろうとしている自分に気付いて、ひとりで可笑しくなったりしています。

大人になるってこういうことかあ、としみじみ思ってみたり(笑

ちなみにこの新書は「意識的であること」を核としていますが、中身は具体的な笑える話がいっぱいで、気軽に読んでもかなり楽しめます。
お世辞の仕方、悪口の言い方から、社交について、あるいは話題の作り方まで、盛りだくさんの内容となっています。

知的な笑いを求めている方におすすめです。
まじめな人生指南

気鋭の“若手”評論家が、更に若い人たち(学生?)に送る、「対話」への
誘い。

様々な話題、悪口、お世辞も、たとえそれが虚偽であったとしても、常に
緊張をもって相手を敬い、観察し、礼儀と皮肉とユーモアを持って発言す
ることが対話の醍醐味であり、それによって人間関係が深くなるばかりで
なく、運命をも切り開かれる、重要な人間の活動であることを述べた啓蒙
書。

「悪」という背徳的な香りを使って導入し、「毒」のある社会・政治家批判
を織り交ぜながら、実は非常にまっとうな、「知をつかった対話」を駆使し
た世渡りと自己鍛錬の奨めが、小気味いい軽快な語り口で展開されている。
実際にも優しい人なのだろう、と思ってしまった。



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