「悲劇」は三度訪れる。
首尾一貫として古典的な形式に則っているが、その作曲語法は全く革新的で、描かれるのは人間の暗黒面のみ。そこには一欠けらの明るさや一瞬の温もりもない。典型的な交響曲とは正反対の筋道で書かれるこの作品は、三十分以上の第四楽章で運命との戦いに、主人公の死という形で決着がつく。一度目の「悲劇は」突然に襲い掛かり、それでも起き上がろうとする英雄を二度目の「悲劇」が道を阻み、そして救いの感じられなくなってまもなく三度目の「悲劇」が死の宣告をする…「悲劇」とは終楽章で三回使用されるハンマーだが、「悲劇」が起こる時ハンマー が下ろされる。その凄惨な音と相俟って視覚的な効果は大きい。CDを聴いて満足できなかった方はこれを見ればこれからこの曲の印象が鮮明になるだろう。
ユニバーサル ミュージック クラシック
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